「逞しい広がりのある背中にしたい」
「無駄のない綺麗な引き締まった背中にしたい」
このようにお考えの方におすすめしたいのが『懸垂』です。懸垂はバーにぶら下がって体を引き上げるというシンプルな動作ながら、正しく背中に刺激を与えるのが難しい種目です。
本記事では懸垂の基本的なやり方・メリット・おすすめの回数とセット数など、懸垂をやるうえで知っておくべき基礎知識について徹底的に解説していきます。

この記事を書いた人:今野栄也人(こんのはやと)
編集長
宮城県仙台市内でパーソナルジム「TRI FITNESS」を運営。年間4000件を超える指導件数を誇る。警察学校や専門学校での講師としても活動している経験豊富なトレーナー。
懸垂の正しいやり方
懸垂は主に広背筋・上腕二頭筋といった上半身の引く筋肉を鍛えることができる多関節エクササイズです。ここでは懸垂の最も基本的なやり方であるプルアップについて解説します。
懸垂は自重エクササイズのなかでも特に強度が高く初心者には難しいエクササイズなため、実施困難なときはバンドをバーから垂らし脚をひっかけた状態で補助しておこなうか、ラットプルダウンに種目を変更してトレーニングしてください。
- 肩幅より少し広い手幅かつ順手でバーを握る(目安肩幅の1.25倍~1.5倍)
- 腹筋に力を入れ、肘を締めながらバーを鎖骨につけるように体を引き上げる
- ゆっくり腕を伸ばして体を降ろす
- 2~3を繰り返す
懸垂の最適なレップ数・セット数
懸垂は上腕二頭筋・広背筋などの腕や背中の引く動作で使われる筋肉を鍛えることができるエクササイズ。自重エクササイズは負荷が小さなものが多い中、懸垂は非常に大きな負荷がかかり正しいフォームで動作数するのが難しいエクササイズでもあるため、中レップ(8回前後)で丁寧にコントロールしつつも大きな負荷に対応できる回数で設定するのがおすすめです。
懸垂に最適なレップ数・セット数は【8レップ×3セット】がおすすめです。
まずはこの回数でプログラムにとりいれるようにしてみましょう。
懸垂で鍛えられる筋肉

引く動作で使われる背中の筋肉を鍛えたいなら懸垂は最高のエクササイズのひとつです。ここでは懸垂で鍛えられる筋肉について解説します。
- 広背筋
- 上腕二頭筋
広背筋

広背筋は背中全体に大きく広がる筋肉で、腕を引く(内転)・後ろに引く(伸展)・内側に回す(内旋)動きに関与し、逆三角形の体型や姿勢の安定に重要。
また、逆三角形のシルエットを作るといった体型の面でも非常に大きなメリットがある筋肉です。
| 起始・停止 | 起始:鎖骨第6〜第12胸椎棘突起(前方・僧帽筋付着部)、胸腰筋膜を介した腰椎、仙骨棘突起(T6〜S5)、棘上靱帯、後腸骨稜、外腹斜筋と交叉する下部肋骨3〜4本、肩甲骨下角 停止:上腕骨の小結節稜 |
|---|---|
| 作用 | 肩関節の伸展 肩関節の内転 肩関節の内旋 肩関節の水平伸展 |
上腕二頭筋

上腕二頭筋は一般的に「力こぶ」として知られている筋肉。
上腕二頭筋は長頭と短頭で構成され、長頭は上腕の外側にあり、短頭は上腕の内側にあります。
上腕二頭筋の役割は肘を曲げる
| 起始・停止 | 起始:肩甲骨の関節上結節、肩甲骨の烏口突起 停止:前腕の骨(橈骨)にある凸部、上腕二頭筋腱膜 |
|---|---|
| 作用 | 肘関節の屈曲 前腕の回外 |
懸垂のポイント
懸垂は「バーにぶら下がり、体を引き上げる」文字にすると非常に簡単なエクササイズですが、きちんとターゲットとなる筋肉に負荷をかけようとすると難しいエクササイズに大変身。そこで懸垂で正しく背中の筋肉や腕を鍛えるためのポイントを紹介します。
- 肩幅よりもやや広く握る
- 肩をすくめない
- 腕を曲げる意識ではなく、肘を引く意識で動く
- 体を垂直に引き上げる
- 足を後ろで組む
肩幅よりもやや広く握る
懸垂の手幅は肩幅よりもやや広く握るようにしましょう。懸垂において手幅は狭ければ上腕二頭筋に効きやすく、手幅が広ければ広背筋に効きやすくなります。懸垂は腕も鍛えられますが、メインはあくまでも背中のトレーニングです。そのため手幅は肩幅よりも広く設定するようにしましょう。
肩をすくめない
力んで肩がすくんでいると、広背筋はじめ背中の筋肉が緩んでしまい十分に収縮できません。肩は降ろして首を長く見せるようにして動作することで広背筋を十分に使い切ることができます。
腕を曲げる意識ではなく、肘を引く意識で動く
広背筋を使うのは肘を曲げる動きではなく、肘を体に近づける動きです。肘を曲げる意識だと腕の筋肉ばかり鍛えられてしまいます。一方で肘を引きつける意識だと、広背筋をしっかりと使うことができるます。
体を垂直に引き上げる
体が前後に動くように引くと、広背筋だけではなく僧帽筋や腕ばかり疲れることになってしまい、本来鍛えたい広背筋の刺激が減少してしまいます。バーにぶら下がった状態から垂直に鎖骨付近にバーがくるように引くことで広背筋を効果的に鍛えることができます。
脚を後ろで組む
疲れたり慣れていないと、懸垂の時に足を前後に振って反動をつかって懸垂しようとしてしまいます。脚を後ろで組むことで反動が使いにくく、丁寧に背中や腕の筋肉を使うしかなくなるのでトレーニング効果が向上します。
懸垂のメリット
懸垂は上半身の多関節エクササイズのなかでも負荷が高く、特に背中を鍛えるのに効果的なエクササイズです。ここではトレーニングプログラムに懸垂をとりいれるメリットについて紹介します。
- 背中を効果的に鍛えることができる
- ケガのリスクが低く安全
背中を効果的に鍛えることができる
懸垂は一見すると腕のトレーニングのようにも見えますが、立派な背中のトレーニングです。上手に懸垂ができると背中のなかでも広背筋という、逆三角形をつくるうえで最も重要な筋肉を効果的に鍛えることができます。
ケガのリスクが低く安全
懸垂はベントオーバーロウのように、高重量を支えて姿勢を保持する必要がないため腰を痛めるといった筋トレでよくあるケガのリスクが低く安全におこなうことが可能です。
懸垂のバリエーション
懸垂にはいくつか使う機材や目的によってバリエーション種目があるので、ここで紹介します。
- チンニング
- ラットプルダウン
チンニング
チンニングは逆手でおこなう懸垂で広背筋と上腕二頭筋を中心に鍛えることができるエクササイズ。対してプルアップは、順手でおこなう懸垂でチンニングよりも上腕二頭がつかわれず、より一層広背筋に負荷がかかるトレーニング。
- チンニングスタンドに逆手でぶら下がる
- 力強く腕で体をスタンドのグリップにひきつける
- 腕を伸ばす
- 2~3を繰り返す
ラットプルダウン
ラットプルダウンは背中とくに広背筋を鍛える種目。懸垂だとどうしても体重が負荷となるため、細かく調整ができずそもそも挙げられないという人も、ラットプルダウンなら重りで細かく負荷を調整できるのでまずはラットプルダウンから始めてみて、慣れてきたら懸垂へ移行していくというのがいいでしょう。
- 頭の真上にバーがくるようにシートに座る
- 手幅は肩幅の1.5倍程度になるようにバーを握る
- 鎖骨のうえにバーを引き付ける
まとめ
今回の記事では上半身の中でも大きな背中の筋肉を鍛えることができるエクササイズ『懸垂』について解説しました。懸垂で上手に背中に効かせるのは難しいですが、上手にできるとこれほど背中を鍛えるのに効果的なエクササイズはありません。ぜひ今回の記事を参考に、プログラムに積極的に懸垂を取り入れてみてください。

