「筋トレの王様」と呼ばれるエクササイズ『スクワット』。
おそらく、筋トレをしたことがない人でもルーマニアンデッドリフトは知らなくとも、スクワットを知らない人はいないのではないでしょうか。
なぜ、これほどまでに沢山あるエクササイズのなかでスクワットが圧倒的に認知され、人気があるのかといえば『素晴らしいトレーニング効果があるから』が理由のひとつに挙げられるかと思います。一方で「スクワットは効果が高い」といいつつも、下半身の筋トレとして効果が優れているというのは知っていても、じつはそれ以外にも多くの効果があることは知られていません。
そこで本記事では人気のエクササイズであるスクワットの科学的に証明されている効果について解説していきます。
ハイバーバックスクワットの正しいやり方
ハイバーバックスクワットは主に大腿四頭筋(太ももの前)・大殿筋が鍛えられるエクササイズ。ジャンプ力や走力の向上にも役立つ重要な多関節エクササイズのひとつ。
担ぐ位置によって効果が変わるスクワットですが、今回は最も基本的なスクワットであるハイパーバックスクワットについて紹介します。
- バーベルを肩に乗せる
- 足を肩幅くらいに広げて爪先を外に30度ほど開いた状態で立つ
- お尻を後方へ椅子へ座るイメージで突き出しながらしゃがむ
- お尻が膝よりも下にくるまでしゃがむ
- 力強く両脚で立ち上がる
- 2~5を繰り返す
スクワットをすることで得られる効果
下半身の筋肉を中心に鍛えることができる素晴らしいエクササイズ『スクワット』そんなスクワットの素晴らしい効果について紹介していきます。
- 深くしゃがむことで大殿筋の筋肥大効果が高くなる
- 「大腿四頭筋」をバランスよく鍛えることができる
- 膝関節の健康に貢献
- 股関節・足関節の可動性を向上させる
- サルコペニア(筋肉減少症)の予防
- 骨密度を高め、骨粗鬆症や骨折を予防する
深くしゃがむことで大殿筋の筋肥大効果が高くなる
スクワットは下半身のトレーニングとして知られていますが、中でも大腿四頭筋(太もも前の筋肉)を鍛えるエクササイズとして有名です。しかし、じつはスクワットはしゃがむ深さによって筋肥大効果がかわってきます。
過去1年間トレーニングをやっていない健康な男性を2つのグループ(フルSQ群:膝が約140°曲がるまでしゃがむ②ハーフSQ群:膝が約90°曲がるまでしゃがむ)に分けて、スクワット(SQ)を週2回10週間3セット×8レップ実施し、10週間のトレーニング期間の前後に、MRIで下半身右側の断面図を撮影して各筋肉の筋量を調べた研究によれば、フルスクワットの方が大殿筋・内転筋の筋肥大効果が高かったということがあきらかにされました。
参考:Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes
「大腿四頭筋」をバランスよく鍛えることができる
スクワットは下肢のトレーニングとして知られていますが、その下肢の筋肉の中でも代表的なのが『大腿四頭筋』という太腿の前にある筋肉。大腿四頭筋は大腿四頭筋というだけあって大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋の4つの筋肉で構成されています。
大腿四頭筋(大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋)の各部位が、7週間のパラレルスクワット(床と太ももが平行になる深さ)によってどう変化するかを検証した研究によれば「大腿四頭筋を構成する4つの筋肉でバランス良く筋肥大効果を得ることができた」という結果になっています。
参考:Does Back Squat Exercise Lead to Regional Hypertrophy among Quadriceps Femoris Muscles?
膝関節の健康に貢献
「スクワットは膝に悪い」筋トレは体に過負荷を与えるため一定のケガのリスクはつきまといますが、特にスクワットは膝を痛めるからやめた方がいいといわれることの多いエクササイズのひとつ。しかし、事実は違う可能性があることを明らかにした研究があります。
深くしゃがむスクワットが膝関節に及ぼす影響について調べた研究(15の主要な研究を包括的に分析した研究)によれば「適切なフォームおこなう場合、深くしゃがむスクワットは膝関節にとって安全であるのはもちろん、むしろ関節の健康に効果的」であるとされています。
参考:Impact of the deep squat on articular knee joint structures, friend or enemy? A scoping review
股関節・足関節などの可動性を向上させる
筋トレをすると筋肉が硬くなるといわれることがありますが、じつはこれは誤りです。
静的ストレッチとトレーニングが柔軟性に与える影響についての研究によると、股関節・足関節などの関節可動域を向上させる効果があり、これ以外にもレジスタンストレーニングを可動域を大きくとった状態でおこなうことでストレッチと同等の可動域改善が見込めるということがあきらかにされています。
サルコペニア(筋肉減少症)の予防
サルコペニアとは、加齢や疾患によって筋肉量が減少している状態のこと。サルコペニアになることで歩行や自立が困難になり日常生活に支障をきたす場合もあります。
高齢者に対して自重のスクワットによってどのような効果を及ぼすか調べた研究では、高齢者を対象に12週間トレーニングを実施した結果、レッグプレスの1RMの向上や外側広筋の筋厚が増したという結果になり、スクワットはサルコペニアの予防に効果的である可能性が示唆されました。
参考:高齢者への異なる関節角度自重負荷スクワットトレーニングの効果
骨密度を高め、骨粗鬆症や骨折を予防する
アスリートや女性で骨粗しょう症に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。骨粗しょう症は年齢に関係なくホルモンバランスの変化や激しい運動により起こりうる、骨密度が低下してしまう恐ろしい現象です。しかし、じつはスクワットはじめトレーニングによって骨密度を高めることができることがわかっています。
若年男子長距離ランナーを対象に、レジスタンストレーニング(筋力トレ)が骨密度に与える影響を調査した研究では、筋トレを行っているランナーはおこなっていないランナーに比べて全身および荷重部位の骨密度が有意に高く、この差は研究後も残った。有酸素性下肢負荷(ランニング)に加えて、抵抗負荷を伴うトレーニングが若年ランナーの骨健康維持・向上に貢献することがあきらかにされています。
スクワットのバリエーション
スクワットといえばハイバーバックスクワットを指すことが多いですが、スクワットには他にも様々なバリエーションがあります。機材や体の状態に合わせて、どのエクササイズをおこなうか選択していくようにしてください。
- ローバーバックスクワット
- フロントスクワット
- ブルガリアンスクワット
ローバーバックスクワット
ローバーバックスクワットは、ハイバーバックスクワットよりもバーを担ぐ位置を低く(三角筋後部と僧帽筋上部の間くらい)ことで、重心がハイバーバックスクワットよりも後方へ来ることで上半身の前傾が強くなり、股関節にかかるトルクが大きくなることでハイバーバックスクワットやフロントスクワットよりも大殿筋にかかる負荷が最も大きくなるスクワット。
- 三角筋後部と僧帽筋上部の間にバーを担ぐ
- 足を肩幅より若干広いくらいに広げ、爪先は30度前後外へ開く
- お尻を後方へ引きつつ、お尻が太腿よりも低い位置にくるようにしゃがむ
- 足裏全体で力強く地面を押す
- 3~4を繰り返す
フロントスクワット
バックスクワットが肩の上にバーを担ぐのに対して、フロントスクワットはバーを鎖骨の上に担いでおこなうスクワット。バーが体の前面にくることでバックスクワットよりも上半身がより直立に近い状態になるので、腰への負担を軽減しつつ、一方で膝関節の屈曲が強くなるので大腿四頭筋へかかる負荷がより大きくなるといった特徴があります。大腿四頭筋を鍛えたい人はもちろん、クリーンなどを導入したいと考えている人はフロントスクワットを必ずプログラムに入れるようにしましょう。
- 三角筋のくぼみと鎖骨にバーベルを乗せ、掌を上に向けて指先でバーを喉に押しつけ支える。このとき肘は真正面に向くようにする。
- 足を肩幅より若干広いくらいに広げ、爪先は30度前後外へ開く
- お尻を後方へ引きつつ、お尻が太腿よりも低い位置にくるようにしゃがむ
- 足裏全体で力強く地面を押す
- 3~4を繰り返す
ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットはスクワットと同様にお尻や太腿前を鍛えるのに非常に効果的なエクササイズ。片足で実施することで重い重量を担がずとも、十分な効果を得られるため腰への負担を減らしつつ安全に鍛えることができるので初心者にもおすすめです。
- 片脚を後ろのベンチに乗せる
- 前方の足を爪先を真正面にむけて立つ
- お尻を引きつつしゃがんでいく(しゃがみきったところで上半身と脛が平行になるイメージ)
- しゃがみきったら力強く立ち上がる
まとめ
スクワットは下肢のトレーニングとして人気・効果ともに非常に高い素晴らしいエクササイズのひとつです。ぜひ、今回の記事でスクワットで得られる効果について知っていただき、明日からのトレーニングではもっと積極的にスクワットをおこなっていただければ嬉しい限りです。
