トレーニングの王様として知られる『バックスクワット』。バックスクワットでも一般的にボディメイクから筋力向上までおこなわれることが多いのが『ハイバーバックスクワット』と呼ばれる背中の上部でバーを担ぐバックスクワットの一種。一方でパワーリフティング選手に多く採用されるのバックスクワットが『ローバーバックスクワット』と呼ばれるバックスクワット。
今回の記事では一般的なハイバースクワットではなく、あまりジムで見かけることの少ないローバーバックスクワットについて解説してきます。
ローバーバックスクワットの正しいフォーム
ローバーバックスクワットは、ハイバーバックスクワットよりもバーを担ぐ位置を低く(三角筋後部と僧帽筋上部の間くらい)することで、重心がハイバーバックスクワットよりも後方へ来ることで上半身の前傾が強くなり、股関節にかかるトルクが大きくなることでハイバーバックスクワットやフロントスクワットよりも大殿筋にかかる負荷が最も大きくなるスクワットです。
- 三角筋後部と僧帽筋上部の間にバーを担ぐ
- 足を肩幅より若干広いくらいに広げ、爪先は30度前後外へ開く
- お尻を後方へ引きつつ、お尻が太腿よりも低い位置にくるようにしゃがむ
- 足裏全体で力強く地面を押す
- 3~4を繰り返す
ローバーバックスクワットのおすすめな回数・セット数
ローバーバックスクワットでおすすめな回数とセット数は
- 筋肥大目的:6~8回×3セット~
- 最大筋力向上:1~5回×5セット~
- 初心者:8回×3セット~
目的に応じて上記の挙上回数・セット数を参考にプログラムを組んでみてください。
特に初心者でまだフォームが安定しない人は、記載した8回でセットを組むのがおすすめです。
初心者のうちはまだフォームが安定せず、ある程度の反復回数練習として動いてみることが重要です。一方で姿勢を正しく動作するのはかなりの集中力を要するため、あまり高回数で長時間動くのは動作の質が低下してしまう恐れがあるため、8回が動作の質を担保しつつ、反復回数もそこそこ稼ぐ意味で効果的です。
ローバーバックスクワット中の呼吸
高重量を背中で支える必要のあるローバーバックスクワットでは、呼吸によって腹圧を高めることは体幹の剛性を高めるうえで非常に重要になってきます。
ローバーバックスクワットはじめ、トレーニングでおこなう呼吸は大きく2つ。
- 基本の呼吸(しゃがむ局面で息を吸い込み、立ち上がる局面で息を吐く)
- バルサルバ法(バーベルを担ぎしゃがむ前に息を吸い込み、息を止めて体幹を固めた状態で動作する)
とくに体に怪我がなく、高重量を挙げたい方はバルサルバ法でしっかりと腹圧を高められるようにしましょう。一方でヘルニアや高血圧などの腹圧が高まることで症状が悪化する可能性がある方は基本の呼吸で動作するようにしましょう。
ローバーバックスクワットをおこなうメリット

ローバーバックスクワットはパワーリフティング選手をはじめ、多くの筋トレ愛好家に愛されている下半身のエクササイズ。ハイバーバックスクワットと似たような動作ではあるものの、ハイバーバックスクワットよりもバーを担ぐ位置が低くなることで異なるメリットを得ることができます。
- 大殿筋の筋肥大効果
- 下半身の最大筋力向上
- 足首の柔軟性の影響をうけにくい
大殿筋の筋肥大効果
ローバーバックスクワットの最大の特徴はバーを担ぐ位置です。ハイバーバックスクワットでは背中の上部に担ぐのに対して、ローバーバックスクワットでは三角筋後部と僧帽筋上部の間くらいの低い位置にバーを担ぎます。
バーを担ぐ位置が低くなることで、上半身をより強く前傾させる必要があり、この上半身の前傾が股関節により大きなトルク(股関節を軸に回転するような力が加わること)が発生するため、股関節伸展筋である大殿筋に対しての負荷がハイバーバックスクワットよりも大きくなります。
下半身の最大筋力向上
ローバーバックスクワットはパワーリフターに採用されることが多いスクワットということだけあって、高重量が挙げやすく最大筋力向上に非常に効果的であるといえます。
ローバーバックスクワットはバーを担ぐ位置がハイバースクワットよりも低い位置に担ぐことで、重心が後方へくるためバランスをとるためには上半身を強く前傾させる必要があります。このフォームの影響で、ローバーバックスクワットでは股関節伸展筋である大殿筋が強く働きます。大殿筋という大きく力強い筋肉がより強く働くことでハイバースクワットよりも高重量が挙げやすくなります。
また、胴長・短足な傾向にある日本人の骨格を考えても腰にかかる負担を軽減して高重量を挙げやすくなるので、ローバーバックスクワットは高重量を挙げる必要のある人にとって素晴らしい選択肢であるといえます。
足首の柔軟性の影響をうけにくい
現代人は多くが足首が硬くしゃがむ動作が苦手に人が多い傾向にあります。
そんななか、ローバーバックスクワットはハイバーバックスクワットよりも足首の柔軟性に影響を受けにくく、ハイバーバックスクワットでは足首が硬くて深くしゃがみにくいと悩んでいる人でもしゃがみやすくなります。
ローバーバックスクワットでよくある間違い

ローバーバックスクワットをしている人によく見られる間違いがいくつかあります。ここでは、ローバーバックスクワットでよくみられる間違いについてまとめて紹介していきます。
- バーの位置が高すぎるor低すぎる
- 上半身をハイバーの時のように直立に近づけようとしすぎる
- ヒンジ動作ができておらず背中が丸くなる
バーの位置が高すぎるor低すぎる
ローバーバックスクワットでは三角筋後部と僧帽筋上部の間くらいにバーを担ぐのが理想です。
これがバーの位置が高すぎればヒアバーバックスクワットと同じような姿勢になってしまい、ローバーバックスクワットで本来得られるはずの効果が得られません。一方、低すぎるとバーを支えることができず肩関節をケガしてしまったり、最悪の場合はバーを支えきれず床に落下させてしまうことも起こりえます。
上半身をハイバーの時のように直立に近づけようとしすぎる
ハイバーバックスクワットになれていると、上半身が直立に近い状態でスクワット動作をすることを意識してしまいます。しかし、ローバーバックスクワットは担ぎ位置が低くかつ重心が後方へ移るため、ハイバーバックスクワットと同じように上半身を立てようとすると重心が後ろに偏よりバランスを保てなくなってしまい、転倒のリスクが高くなり危険です。
あくまでも重心は常に足の真ん中に保てるように動くことを意識しましょう。
ヒンジ動作ができておらず背中が丸くなる
ヒンジ動作とは「股関節を軸として上半身を背筋がまっすぐに伸びた状態で倒していく動作」のこと。このヒンジ動作ができていないと、ローバーバックスクワットでしゃがむときに股関節を折りたたんで上半身を前傾させるのではなく、背中を丸めるような動作になってしまい腰を痛める原因になりかねません。
上半身は正しい姿勢を維持しつつ、股関節を軸に上半身をたたむ技術がつかめていない場合は、まずはヒップヒンジを習得することから始めてみるといいでしょう。
ローバーバックスクワットの代替種目
ローバーバックスクワットは非常に優れたエクササイズですが、目的や課題によってはローバーバックスクワットと同じような動作をするエクササイズに代替すべきときがあります。そこでここではローバーバックスクワットの代替種目について紹介します。
- ハイバーバックスクワット
- フロントスクワット
- ゴブレットスクワット
ハイバーバックスクワット
ハイバーバックスクワットは主に大腿四頭筋(太ももの前)・大殿筋が鍛えられるエクササイズ。ジャンプ力や走力の向上にも役立つ重要な多関節エクササイズのひとつ。担ぐ位置によって効果が変わるスクワットですが、今回は最も基本的なスクワットであるハイパーバックスクワットについて紹介します。
- バーベルを肩に乗せる
- 足を肩幅くらいに広げて爪先を外に30度ほど開いた状態で立つ
- お尻を後方へ椅子へ座るイメージで突き出しながらしゃがむ
- お尻が膝よりも下にくるまでしゃがむ
- 力強く両脚で立ち上がる
- 2~5を繰り返す
フロントスクワット
バックスクワットが肩の上にバーを担ぐのに対して、フロントスクワットはバーを鎖骨の上に担いでおこなうスクワット。バーが体の前面にくることでバックスクワットよりも上半身がより直立に近い状態になるので、腰への負担を軽減しつつ、一方で膝関節の屈曲が強くなるので大腿四頭筋へかかる負荷がより大きくなるといった特徴があります。大腿四頭筋を鍛えたい人はもちろん、クリーンなどを導入したいと考えている人はフロントスクワットを必ずプログラムに入れるようにしましょう。
- 三角筋のくぼみと鎖骨にバーベルを乗せ、掌を上に向けて指先でバーを喉に押しつけ支える。このとき肘は真正面に向くようにする。
- 足を肩幅より若干広いくらいに広げ、爪先は30度前後外へ開く
- お尻を後方へ引きつつ、お尻が太腿よりも低い位置にくるようにしゃがむ
- 足裏全体で力強く地面を押す
- 3~4を繰り返す
ゴブレットスクワット
ゴブレットスクワットはケトルベルを両手で胸の前に保持して、おこなうスクワット。重りが身体の前面にくることで重心の位置が前に来るため、通常のスクワットよりも背中の筋肉に負荷がかかります。脚のトレーニングとしておこなうのもおすすめですし、バックスクワットで上半が潰れがちな人がフォームの修正におこなうのにも役立ちます。
- 足幅は肩幅より少し広く、爪先は左右に30度程度外に開き立つ
- 両手でケトルベルのハンドル両脇を握り、胸の高さで保持
- お尻を後方へ引きながら自然にしゃがんでいく
- お尻が太腿よりも下にくるまでしゃがむ
- 力強く立ち上がる
まとめ
ローバーバックスクワットは下半身のエクササイズのなかでも大殿筋をはじめとした下半身の筋肉を効果的に鍛えることができる素晴らしいエクササイズです。
ハイバーバックスクワットと併せて、ぜひトレーニングプログラムにとりいれていきましょう。
