ベンチプレスをやっていて肩を痛めた経験はありませんか?ベンチプレスは上半身の押す筋肉を鍛える優れたエクササイズですが、それと同時に肩関節に対して大きな負担がかかるエクササイズでもあり、ベンチプレスで肩を痛めた経験をした人も多いのではないでしょうか。
そんな経験をした人や、今ベンチプレスに本格的に取り組んでいて肩のケガをしないように予防したいという人に知っておいてほしいのが『ローテーターカフという筋肉とその鍛え方』についてです。
ローテーターカフという筋肉は肩の安定性に関わる筋肉で、ベンチプレスをはじめとする肩に大きな負担のかかる種目で肩を痛めないように予防するうえで重要な筋肉になります。
今回の記事ではローテーターカフという筋肉の鍛え方・重要性・肩関節にかかる負担を軽減するエクササイズなど、肩に不安を感じている人におすすめの情報をお伝えしていきます。

この記事を書いた人:今野栄也人(こんのはやと)
編集長
宮城県仙台市内でパーソナルジム「TRI FITNESS」を運営。年間4000件を超える指導件数を誇る。警察学校や専門学校での講師としても活動している経験豊富なトレーナー。
ローテーターカフって何?
ローテーターカフとは肩甲骨と上腕骨をつなぐ4つの深層筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)の総称です。
ローテーターカフは肩の安定性を高め、腕の動きをスムーズにしてくれる腕や肩の運動で重要な筋肉。
ローテーターカフを構成する筋肉は以下の4つ。
- 棘上筋
- 棘下筋
- 小円筋
- 肩甲下筋

ローテーターカフと呼ばれる4つの筋肉は腕を横に挙げる・腕を外に回す・腕を内側に回すといった作用を持っています。
肩関節は上腕骨・肩甲骨のくぼみ・鎖骨で構成されており、肩甲骨のくぼみに上腕骨をしっかりとひきつけて固定してくれます。
ローテーターカフを鍛えるエクササイズ
ローテーターカフを鍛えるエクササイズを紹介します。
- 【棘上筋】フルカンエクササイズ
- 【棘下筋・小円筋】エクスターナルローテーション
- 【肩甲下筋】インターナルローテーション
【棘上筋】フルカンエクササイズ
- 柱などに固定したバンドを持ち、足を肩幅に開いて立つ
- 手のひらを正面に向ける(親指が外を向く)
- 腕をまっすぐ伸ばしたまま、体の斜め前方(約30〜45度)へ
- 3の姿勢から腕を30度程度挙げる
- 3の姿勢に戻る
- 3~5を繰り返す
【棘下筋・小円筋】エクスターナルローテーション
- 両手でバンドを握る
- バンドを握った状態で片手は腰に当てて固定
- エクササイズ実施側の腕は肘を90度に曲げ体に密着させる
- 実施側の手は掌が上を向くようにしておく
- 肘を支点に二の腕を動かさないように気をつけながら腕を外側へ開く
- ゆっくりと3の姿勢まで戻す
- 動作を繰り返す
【肩甲下筋】インターナルローテーション
- 柱などにバンドの片側を固定
- バンドを固定した方向に対して横向きに立つ
- バンドを結んだ側に近い方の手でバンドを握る
- バンドを握った状態で肘を90度に曲げ体に密着させる
- 実施側の手は掌が内側を向くようにする
- 肘を支点に二の腕を動かさないように気をつけながら腕を内側へ閉じる(自分のお腹を触る感覚)
- ゆっくりと5の姿勢まで戻す
- 動作を繰り返す
ローテーターカフを鍛えるエクササイズはゆっくり丁寧に
ローテーターカフを鍛えるエクササイズでは反動をつかわずにゆっくり丁寧に動作することがポイントです。
ローテーターカフは非常に小さな筋肉で、大きな力を発揮するのには適していません。少しでも効果を出したいと焦って雑なフォームになったり、無理な重さで反動を使って動いてしまうと本来鍛えたいはずのローテーターカフではなく、その周囲の三角筋や僧帽筋などの大きな筋肉に頼ってしまい効果が薄れてしまう可能性があるので注意しましょう。
ローテーターカフを鍛えるならバンドがおすすめ
先ほど紹介したローテーターカフを鍛えるエクササイズは、ダンベルをつかったパターンもありますが筆者としては圧倒的にバンドをつかっておこなうのがおすすめです。
バンドはどのような位置でも常に負荷が筋肉にかかり続けますが、ダンベルの場合は位置によって負荷が抜ける場面が出てきます。負荷を一定にどのような角度でも与えられると偏りなくローテーターカフを鍛えることができるため、バンドがおすすめです。
また、バンドの場合『軽量・コンパクト』なため遠征などにも持ち運びしやすく、どこでも使用できるというのも大きなメリットです。
トレーニングの前や、そのほか運動時に肩の不安がある人はぜひ常に持ち歩いて、定期的にローテーターカフのトレーニングができる準備をしておくといいでしょう。
ベンチプレスの前にやっておきたいウォーミング3選
肩を痛めないためには、肩周辺のストレッチなどで適切な可動域を確保しておくことも重要です。
ここでは先ほど紹介したローテーターカフと併せてベンチプレスの前にやっておきたいウォーミングアップを3つ厳選して紹介します。
- アッパーバックエクステンション
- オープンブック
- IYTエクササイズ
アッパーバックエクステンション
アッパーバックエクステンションはフォームローラーやストレッチポールを活用しておこなう胸椎伸展可動域を出すためのエクササイズ。これをおこなうことでアーチをより高く組みやすくなります。
- ストレッチポールを床に置く
- 肩甲骨の下角がストレッチポールにあたるように仰向けで寝る
- ストレッチポールを軸に背中を反らす
- ストレッチポールを軸に背中を丸める
- 3~4を繰り返す
オープンブック
オープンブックは胸椎の回旋(胸椎を中心に捻る動作)可動域向上が期待できるエクササイズ。胸椎の回旋のしやすさに左右で差が大きいとベンチプレスの下降局面で、片方だけ深く降ろせず肩にいびつな負荷がかかる可能性があります。そこでオープンブックをウォーミングアップでおこなうことで胸椎のねじれやすさの左右差を改善することができます。
- 横向きで寝る
- 膝を90度に曲げて、膝が股関節の前にくるようにする
- 下側の手で膝を上から抑える
- 上の手・腕を前に伸ばしたところから反対へ胸を開くように動く
- 元の姿勢まで戻る
- 4~5を繰り返す
IYTエクササイズ
IYTエクササイズは僧帽筋中部下部を鍛えられます。僧帽筋中部下部を鍛えることで、肩甲骨そしてその先の肩関節を安定させて、ベンチプレスに多い肩のケガのリスクを低下させてくれる効果が期待できます。
- 顔を床から若干浮かせた状態でうつ伏せで寝る
- 両腕を耳の横から頭上方向に伸ばす
- 2の姿勢で床から腕をできる限り高く浮かせる
- 両腕を2の姿勢から30度開いた姿勢になる
- 4の姿勢で床から腕をできる限り高く浮かせる
- 両腕を4の姿勢から両肩の真横に伸びるようにする
- 6の姿勢で床から両腕をできる限り高く浮かせる
- 2~7を繰り返す
まとめ
ベンチプレスは人気の高いエクササイズのひとつ。上半身のエクササイズのなかで最も高重量を挙げることができる大胸筋・三角筋・上腕三頭筋を鍛えることができます。そんな効果的で人気の高いベンチプレスですが、一方で肩のケガが多くトレーニー泣かせのエクササイズでもあります。
今回紹介したローテーターカフのトレーニングや、併せて紹介したウォーミングアップにとりくんでケガをせず、長期でトレーニングを楽しめるように備えていきましょう。
