股関節は人体でも最も大きな関節であり、スポーツ・日常動作などレベルを問わず、あらゆる活動で重要な役割を担っている関節です。
日常動作であれば床にある荷物を持ち挙げる、トレーニングであればボックスジャンプやスクワットジャンプでより高い跳躍をする、スポーツであればスパイクの最高到達点をより高くしたりより高いレベルのスピードで走り抜ける。こういった多くの場面で活躍するのが股関節。
そんな股関節が大きな力を発揮するの動きが「股関節伸展」という動作です。
今回の記事ではあらゆるパフォーマンスを高める股関節伸展動作をより力強く、上手にできるようにするエクササイズやその重要性について徹底的に解説していきます。

この記事を書いた人:今野栄也人(こんのはやと)
編集長
宮城県仙台市内でパーソナルジム「TRI FITNESS」を運営。年間4000件を超える指導件数を誇る。警察学校や専門学校での講師としても活動している経験豊富なトレーナー。
股関節の伸展とは?

股関節とは、骨盤と大腿骨(太ももの骨)の2つの大きな骨によって構成される関節のこと。
次に股関節の伸展について。伸展とは関節を伸ばすように動かすこと。わかりやすいのが上腕三頭筋が収縮することで、肘関節を伸ばすような動きのこと。股関節でいうと股関節周囲にある筋肉が収縮し、上半身と下半身をまっすぐ伸ばす、もしくは後方へ脚を反らすようにすることが伸展ということになります。
股関節伸展にかかわる主な筋肉は以下の3つ。
- 大殿筋:丸い綺麗なヒップラインをつくるのに重要な大殿筋。大殿筋は股関節伸展でも非常に重要な筋肉のひとつです。
- ハムストリングス:大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋からなる筋肉の総称。これらはすべて大腿骨から骨盤につながっており、股関節伸展に強く関係します。
- 大内転筋:内転筋群の中で唯一、股関節伸展に関与する筋肉。
上手な股関節伸展運動をできるようになるメリット

股関節の伸展は我々の日常動作でもよくある「しゃがんで立ち上がる」ときにも発生する、大切な能力のひとつです。エクササイズでいえばデッドリフト・スクワット。さらにアスリート向けのものでいうとスクワットジャンプやクリーンなどあらゆる運動の場面で股関節の伸展は重要となります。以下で上手に力強い股関節伸展ができるようになるメリットを紹介します。
- エクササイズが上手になりトレーニング効果が向上する
- 大きく丸いお尻になりやすくなる
- スポーツパフォーマンス向上
エクササイズが上手になりトレーニング効果が向上する
ヒップヒンジ動作が上手だと正しい姿勢で可動域を大きくエクササイズができるため、ケガをしにくくトレーニング効果は非常に高くなります。
ヒップヒンジはスクワット・デッドリフト・ベントオーバーロウイングなどをはじめ、多くのエクササイズで必要となる動作です。ヒップヒンジ動作ができない状態でこれらのエクササイズをすることはトレーニング効果を下げるばかりかケガのリスクを高めてしまいます。
大きく丸いお尻になりやすくなる
ヒップヒンジ動作が上手にできるようになると、お尻の筋肉(主に大殿筋)に刺激が入りやすくなり、なかなか発達しなかったお尻の筋肉が成長しやすくなります。
スポーツパフォーマンス向上
「足腰が強い」スポーツの現場で爆発的なパワーを発揮して、圧倒的な高さを誇るジャンプや力強く走り抜ける選手をこのように評することがありますが、このときの「脚」とは多くの人がイメージしている脚(太もも)ではなく、お尻の筋肉のことを指しています。
走る動作やジャンプはお尻の筋肉が力強く収縮して股関節を伸展させることで、高いパフォーマンスを発揮します。
股関節伸展運動を強化できるエクササイズ3選

股関節伸展動作を強化することできるエクササイズを3つ厳選しました。股関節伸展が弱く、これからジャンプや走動作のパフォーマンスを高めたいと感じている人はこれから紹介するエクササイズ3つを覚えて実践してみましょう。
- ルーマニアンデッドリフト
- デッドリフト
- ヒップスラスト
ルーマニアンデッドリフト
ルーマニアンデッドリフトはバーベルを担いだ状態で主に股関節の屈曲伸展動作でハムストリングスを鍛えるエクササイズ。
ポイントは脊柱をニュートラルにした状態(背中が自然にまっすぐ)で背骨を丸めて伸ばす動きではなく、股関節を軸にして身体を折りたたむような動作をすることなのです。
- 爪先はまっすぐ腰幅で立つ
- バーベルを順手・手幅は腰幅で持つ
- 腰から頭までまっすぐにした状態で股関節から上半身を折りたたむ
- 上半身が水平程度まで下がったら直立の姿勢まで戻る
デッドリフト
コンベンショナルデッドリフト(床から引き上げるデッドリフトのこと、以下デッドリフト)は、全身の筋肉(主に体の後面の筋肉)をデッドリフト一種目で鍛えることができる素晴らしいエクササイズ。
ルーマニアンデッドリフトと違うのは「床から動作が始まる」ことと「膝の曲げ伸ばしがある」こと。床から始まることで、より大きな筋力の発揮が必要となることや、膝の曲げ伸ばしが入り可動域が広くなったり使う筋肉が増えて難易度がぐっと上がるので、まずはルーマニアンデッドリフトを完璧にできるようになってからデッドリフトへ移行するようにしましょう。
- 足は腰幅・爪先はまっすぐ向けて立つ
- バーを土踏まずの上にくるように設置
- 肩幅でバーベルを握る
- バーが脛にあたるようにしながらお尻を落としてしゃがむ
- バーを体に密着させたまま、両脚で地面を押し立ち上がる
- 4と5を逆再生するようにバーベルを降ろしていく
- 4~5を繰り返す
ヒップスラスト
ヒップスラストは大殿筋の単関節エクササイズ。単関節エクササイズとは特定の筋肉や関節のみを使う種目のことでアームカールやサイドレイズなどが代表に挙げられます。
単関節種目ということでほかの種目よりも、大殿筋に効いている感覚を得られやすい初心者にもおすすめな種目のひとつ。
- 背中をベンチ台などに肩甲骨の裏側があたるように乗せる
- 腰にバーベルを乗せる
- 両脚は腰幅で接地
- 力強くバーベルを持ち上げる
- ゆっくり降ろす
- 4~5を繰り返す
股関節伸展を上手にするならまずはヒップヒンジから
股関節伸展のためには上手に股関節を折りたたむ「ヒップヒンジ」を上手にできるようになる必要があります。もし、あなたが先に紹介したルーマニアンデッドリフト・デッドリフト・ヒップスラストが上手にできない(多くの場合は腰が丸まる)と感じている方はヒップヒンジの動きをきちんとできるようにしておくといいでしょう。
股関節を折りたたむ感覚がつかみにくい人には、以下のバンドで骨盤を後方へ引っ張りヒンジ動作をassistしてくれるバンドアシストヒップヒンジが感覚をつかみやすくておすすめです↓
- 背筋を伸ばした状態で脚は腰幅で直立になる
- 柱にバンドを固定し、片方の端を股関節にかける
- お尻を後方へ引きながら身体を折りたたむ
- 身体を起こす
バンドアシストヒップヒンジが難しい場合は、さらに片脚立ちや両ひざ立ちでおこなうことで難易度を下げておこなうことも可能です。
ヒップヒンジについてもっと詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

まとめ
股関節伸展は日常動作・トレーニング・スポーツなどあらゆる場面で大切な動作です。今回紹介したエクササイズを中心に、力強い股関節伸展ができるように鍛え上げていきましょう。

