バーベルでおこなうベンチプレスは、スクワット・デッドリフトとならび「BIG3」のうちの1種目として知られるエクササイズです。数あるエクササイズのなかでも、ベンチプレスは人気が高く腕や大胸筋を鍛えることが可能な素晴らしいエクササイズ。
しかし、肩や肘を痛めやすく、志半ばでベンチプレスを断念する人も多いようです。
そこで、当記事ではベンチプレスの重量を増やしつつ、安全・効果的にトレーニングプログラムに組み込めるようにする基礎知識をお伝えしていきます。

この記事を書いた人:今野栄也人(こんのはやと)
編集長
宮城県仙台市内でパーソナルジム「TRI FITNESS」を運営。年間4000件を超える指導件数を誇る。警察学校や専門学校での講師としても活動している経験豊富なトレーナー。
ベンチプレスのやり方
バーベルベンチプレス(以下、ベンチプレス)は主に大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋といった上半身で押す動作に関わる筋肉を鍛えることができる多関節エクササイズ。以下でベンチプレスの基本的なフォームを紹介します。
- ベンチ台に仰向けで寝る(頭・両肩・お尻・両脚をベンチもしくは床につける)
- バーベルをおよそ肩幅の1.5倍で握る
- ラックからバーベルを外して肩の正面に位置するように保持する
- 乳頭の位置にバーベルがくるように降ろす
- 力強く3の位置まで押しあげる
- 4~5を繰り返す
ベンチプレスはアスリートの競技力向上から、一般的なボディメイクまで幅広く活躍する効果的な上半身のエクササイズです。ただし、目的によって推奨される手幅が変わってくる場合があるため、手幅について記事後半で解説します。
ベンチプレスで鍛えられる筋肉

ベンチプレスで大胸筋をはじめとする上半身の押す筋肉を鍛えたいならベンチプレスがおすすめです。ベンチプレスで鍛えられる主な筋肉はこの3つ。
- 大胸筋
- 三角筋
- 上腕三頭筋
大胸筋

大胸筋は胸を覆う大きな筋肉。腕を前に押し出す動作や、腕を閉じる動作で使われます。体の前方に位置しているため、上半身の印象を決める大事な筋肉のひとつ。
| 起始・停止 | 起始:鎖骨の内側前方1/2、第1~6肋骨の肋軟骨の前面とその胸骨部分 停止:上腕骨の大結節稜 |
|---|---|
| 作用 | 肩関節の屈曲 肩関節の内旋 肩関節の内転 肩関節の伸展 |
三角筋

三角筋は鎖骨や肩の先や肩甲骨から上腕骨につく、文字通り三角形のような形をする筋肉。
肩関節を覆うようにつくことで肩関節の保護や、屈曲・外転・伸展といった働きをします。
| 起始・停止 | 起始:鎖骨外側1/3・肩峰・肩甲棘 停止:上腕骨の三角筋粗面 |
|---|---|
| 作用 | 前部: 肩の屈曲、水平内転、内旋 中部: 肩の外転(腕を真横に上げる) 後部: 肩の伸展、水平外転、外旋 |
上腕三頭筋

上腕三頭筋はいわゆる「二の腕」の筋肉で、じつは力こぶと呼ばれる上腕二頭筋よりも体積が大きく、腕を太くしたいなら上腕二頭筋はもちろんですが併せて上腕三頭筋を鍛える必要があります。
| 起始・停止 | 起始:肩甲骨関節下結節、上腕骨近位の後外面、上腕骨中部の後内面 停止:肘頭 |
|---|---|
| 作用 | 肘関節の伸展 肩関節の伸展 肩関節の内旋 |
ベンチプレスのメリット

ベンチプレスは上半身の多関節エクササイズのなかでも、とくに高重量を扱うことができ大きな効果が見込める素晴らしいエクササイズです。ここではベンチプレスを定期的におこなうトレーニングプログラムにとりいれるメリットを紹介します。
- 筋肥大効果
- 上半身の筋力向上
- 効率的
筋肥大効果
ベンチプレスで鍛えられるのは先に示したように大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋の3つの筋肉。ベンチプレスをおこなうことで上半身の中でも特に大きな3つの筋肉を鍛えて、筋肥大させることが可能なエクササイズです。
上半身の筋力向上
ベンチプレスは上半身を鍛えるエクササイズのなかでも、特に高重量を扱うことが可能。高重量が扱えることで、最大筋力向上を目的としたエクササイズとして非常に効果的です。
同じく筋力向上に向いているとされるスクワットやデッドリフトもありますが、それらと比べてベンチプレスはベンチ台に背中が固定されており、姿勢保持の必要もなく比較的フォームも容易なため初心者でも安心して高重量にチャレンジしやすいというメリットもあります。
効率的
ベンチプレスには大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋といった押す動作に関わる3つの筋肉が動員されます。これが単関節エクササイズで「大胸筋はダンベルフライ」「三角筋前部はダンベルフロントレイズ」「上腕三頭筋はダンベルキックバック」それぞれ別に鍛えると一気に時間が2~3倍はかかってしまいますが、ベンチプレスであれば1種目で3つの大きな筋肉を鍛えられるので非常に効率的に鍛えることができます。
ベンチプレスの安全・効果的にするポイント

ベンチプレスはスクワット・デッドリフトとならびBIG3のひとつとして有名なエクササイズです。BIG3のなかでも比較的動作がシンプルかつ、姿勢保持の難しさがないため上級者はもちろん筋トレ初心者からも愛される種目です。
しかし、腕でバーベルを押すというシンプルな動作ながら、安全かつ効果的にベンチプレスをおこなうためのポイントがあるためお伝えしていきます。
- 手幅は安全性重視なら肩幅の1.5倍、パフォーマンス重視なら肩幅の2.0倍
- 5ポイントコンタクト
- 肩甲骨の下制・内転と適度なアーチ
- セーフティーバーを適切な位置にセットする
グリップ幅は安全性重視なら肩幅の1.5倍、パフォーマンス重視なら肩幅の2.0倍
ベンチプレスのパフォーマンスを大きく左右するのが「グリップの幅」。手幅ひとつで鍛えられる筋肉も変わってきます。
まずは結論から「グリップ幅は安全性重視なら肩幅の1.5倍、パフォーマンス重視なら肩幅の2.0倍」がおすすめです。
ベンチプレスのグリップ幅の違いがベンチプレスのパフォーマンスに与える影響について調べた研究によれば「ベンチプレスの手幅が肩峰の1.5倍を超えると方の怪我のリスクが高まる」としており、さらに「怪我のリスクは無視してベンチプレスで重量を扱うといったパフォーマンスの面では手幅が肩峰から2.0倍の幅で最大になる」ということがあきらかにされています。
ご自身がパワーリフティング競技に出場する予定があり、挙上重量が競技成績に直結する場合は肩幅の2.0倍に設定し、そうでない場合は基本は肩幅の1.5倍とするのがおすすめです。
5ポイントコンタクト
ベンチプレスの「5ポイントコンタクト」とは、頭・両肩・お尻・左右の足の5箇所をベンチ台と床にしっかりと固定させて体を安定させること。
ベンチプレスは高重量を体の中でとくに非力な腕で支える種目です。ちょっとの動作のブレで挙げられなくなるデリケートな種目なので、しっかりと5ポイントコンタクトで安定した動作ができるようにしましょう。
肩甲骨の下制・内転と適度なアーチ
ベンチプレスは、ただベンチ台に仰向けで寝ていればいいわけではありません。動作中、肩甲骨を降ろして内側に寄せるようにしておくこと。さらに、若干胸を張り胸椎で背中にアーチをつくる(背中を反るイメージ)ことで肩関節にかかる負担を減らしケガのリスクを下げつつ、ベンチプレスの効果を高められます。
セーフティーバーを適切な位置にセットする
ベンチプレスやスクワットのラックについているセーフティーバー。ベンチプレスのときにバーを胸に降ろしたときに、バーがセーフティバーにぎりぎりつかないくらいの高さに設定しておくようにしましょう。
セーフティバーを適切な位置に設定していないと、ベンチプレス中に限界をむかえて潰れたときにバーベルとベンチ台で体が挟まれる形になり抜け出せなくなったり、最悪の場合ケガをする可能性もあるので、必ずメインセットに入る前にはセーフティバーの位置設定を忘れずにしておきましょう。
ベンチプレスのバリエーション
- インクラインベンチプレス
- ダンベルベンチプレス
- 腕立て伏せ
インクラインベンチプレス
- ベンチ台の背もたれを30度に傾斜させる
- ベンチ台に仰向けで寝る(頭・両肩・お尻・両脚をベンチもしくは床につける)
- バーベルをおよそ肩幅の1.5倍で握る
- ラックからバーベルを外して肩の正面に位置するように保持する
- 鎖骨の位置にバーベルがくるように降ろす
- 力強く4の位置まで押しあげる
- 5~6を繰り返す
ダンベルベンチプレス
- 両手にダンベルを持ちベンチ台に仰向けで寝る
- ダンベルを胸の横に構える
- ダンベルを胸の正面にくるように腕を伸ばし押し挙げる
- 胸の横にダンベルを降ろす
- 2~4を繰り返す
腕立て伏せ
- 脚を完全に伸ばしつつ両腕を伸ばし身体を支える
- 姿勢は頭部から踵まで一直線になるように
- 腕を曲げ床まで下りる
- 両手で床を押し身体を上げる
- 3~4を繰り返す
ベンチプレスでよくある間違い
ベンチプレスをしている人によく見られる間違いとその問題点をお伝えします。自分がベンチプレスをするときに同じようなことになっていないか思い出しながらみていきましょう。
- 胸にバーをつけない
- お尻が浮いている
- バーを胸でバウンドさせる
- 手首が後ろに反った状態で動作する
「バーを降ろしたときにバーを胸につけない」ことと「お尻が浮いている」ことはどちらもベンチプレスの可動域を狭くして、トレーニング効果を低下させることにつながります。
バーを胸でバウンドさせることについても、可動域は大きく使っているものの胸にバーがつく前後の局面では一時的に負荷が抜けて慣性で動いているだけでトレーニングにはなっていないので、反動をつかわずにすべての動作を完璧に筋力でコントロールしましょう。
また、多いのがベンチプレスで手首が痛くなること。ベンチプレスの時にバーを指の付け根付近に乗せていることで起こりやすい現象です。バーは手根付近に乗せて、手首はなるべく立った状態にしておくのが理想です。これでも手首が痛むときはリストラップを活用して、手首を保護しましょう。
まとめ
ベンチプレスは男女問わず、多くのトレーニング愛好家に愛されている人気ナンバーワンのエクササイズといっても過言ではないでしょう。今回はそんなベンチプレスの基本的な知識についてまとめてみました。
「ベンチプレスをするとすぐに肩が痛くなる」
「全然記録が伸びない」
こんなお悩みを抱えている人はぜひ今回の記事を参考に頑張ってみてください。
