デッドリフトは「床に置いたバーベルをつかんで挙げる」言葉にすると非常にシンプルなエクササイズです。しかし、一見単純ながら正しくデッドリフトをおこなうためには柔軟性・可動性・筋力・技術など多くの要素が絡んでおり、じつはとても難しいエクササイズのひとつとしても知られています。
スポーツ選手やジムで一般の人が、高重量で無理やりフォームを崩しながらデッドリフトで挙げている様子をよく見かけますが、それでは短期的には筋力が向上してもケガのリスクが高まったり、本来鍛えるべき部位以外に負荷が逃げてしまい本来得たいトレーニング効果を得ることができなくなってしまうことにもなりかねません。
デッドリフトで本来得られるトレーニング効果を得るためには、正しく動作する必要があります。
そこで本記事でデッドリフトの基本的なフォームと、起こりがちな間違いについて学び、フォームの修正・改善に活かしていきましょう。
デッドリフトの基本のやり方
デッドリフトの基本的なやり方をまずは確認していきましょう。
コンベンショナルデッドリフト(デッドリフトのバリエーションの中で最もポピュラーなデッドリフトで床から引き上げるデッドリフトのこと、以下デッドリフト)は、全身の筋肉(主に体の後面の筋肉)をデッドリフト一種目で鍛えることができる素晴らしいエクササイズ。
- 足は腰幅・爪先はまっすぐ向けて立つ
- バーを土踏まずの上にくるように設置
- 肩幅でバーベルを握る
- バーが脛にあたるようにしながらお尻を落としてしゃがむ
- バーを体に密着させたまま、両脚で地面を押し立ち上がる
- 4と5を逆再生するようにバーベルを降ろしていく
- 4~5を繰り返す
デッドリフトのよくある間違い・エラー動作と改善策

デッドリフトは簡単そうに見えて、じつは正しくできている人が少ない難しいエクササイズ。そこで、デッドリフトをするうえでよくある間違いやエラー動作と、併せてその改善策まで徹底的に解説していきます。
- 腰が丸くなってしまう
- バーが体から離れる
- 重心が踵もしくは、つま先に偏っている
- お尻の位置が高すぎるor低すぎる
- 顎があがっている
腰が丸くなってしまう
デッドリフトで最も多いエラー動作が「腰が丸まってしまう」ことではないでしょうか。特にデッドリフトのボトムポジション(バーベルつかんでしゃがんだ姿勢)で顕著に表れやすくなるエラー動作ですが、このボトムポジションはデッドリフトの動作中、最も窮屈で足首・股関節などの柔軟性が求められます。
ボトムポジションで腰が丸まってしまう原因はいくつかありますが代表的なものは
- 股関節周囲の柔軟性不足
- 正しい姿勢でのヒップヒンジ動作ができない
- 重量が重すぎる
などが挙げられます。
股関節周囲の柔軟性不足
股関節伸展筋が硬くなることで、股関節の屈曲動作(股関節軸に上半身を前傾させる動作のこと)が妨げられ、本来股関節の屈曲では股関節が前傾するはずが前傾できずに腰が丸くなってしまうことがあります。
そのため股関節屈曲でブレーキになる、硬くなった股関節伸展筋の柔軟性を高めることで、腰が丸くなるのを防ぐことができます。
柔軟性が向上してからではなく、少しずつでもデッドリフトをおこないたい場合は「ラックプル」や「プレートの下にブロックを下に敷く」形で可動域を制限して、正しい姿勢が維持できる範囲でデッドリフトをおこなうのも有効です。
- ハムストリングス|ロープハム
- 大殿筋|ピジョン
- 大内転筋|開脚
ハムストリングス|ロープハム
- 仰向けで寝る
- 片脚にバンドやタオルをひっかける
- バンドをかけた脚をバンドでけん引し足の裏が天井に向くように持ち上げる
- 30秒から1分程度3の姿勢を保持
- 反対脚も同じように伸ばす
大殿筋|ピジョン
- 片脚を前方に出し脛が横向きになるようにする
- 両手で身体を支えながら上半身を倒していく
大内転筋|開脚
- 両脚を膝を完全に伸ばした状態でできる限り開く
- 骨盤を立てつつ上半身を前傾させる
正しい姿勢でのヒップヒンジ動作ができない
ヒップヒンジとは股関節を軸に骨盤を前傾させる動作のこと。デッドリフトで最も重要なのはこのヒップヒンジができていることです。ヒップヒンジができていないと、股関節だけではなく本来動くべきではない腰椎まで動き、椎間板などに余計な負担がかかってヘルニアなどのケガのリスクを高めてしまいます。
デッドリフトを習得するためには、まずはヒップヒンジ動作を完璧にできるようにしましょう。
↓ヒップヒンジ動作習得のためのエクササイズ一例
ヒップヒンジ動作について慈姑く知りたい方は以下の記事をご覧ください。

バーが体から離れる
デッドリフトではバーが体に密着した状態を保つべきです。脛・膝・太腿をバーが擦っていくように押し付けながらデッドリフトをおこないましょう。
バーが体から離れてしまうと「腰にかかる力が増加し、腰を痛めやすくなる」ことや「姿勢保持に関わる背中の筋肉が緩んで正しい姿勢が保ちにくくなる」といったことがおこるので注意するようにしましょう。
バーがどうしても体から離れてしまうという場合は重量を下げておこないましょう。
重心が踵に偏っている
股関節の屈曲動作がメインの動作になります。股関節を屈曲するとき、お尻を後方へ突き出すような形になりますが、この動作を極端に強調しすぎると重心が踵にのってしまいます。
踵に重心が極端にのりすぎると、バランスを崩したり、本来デッドリフトで鍛えられるはずの筋肉が鍛えられなくなって効果が低下してしまうことにも。
重心は常に足の裏の土踏まず付近(足の真ん中)にあるようにしましょう。
お尻の位置が高すぎるor低すぎる
デッドリフトのフォームでありがちなのが、ボトムポジションで「極端にお尻が低すぎる」もしくは「極端にお尻の位置が高すぎる」というものです。
極端にお尻の位置が低すぎるフォームだと、膝関節が強く曲がっており股関節はあまりつかえていない状態。この状態では、デッドリフトで本来鍛えたい股関節の大きな筋肉(お尻や太腿裏)が使えず、スクワットのように太腿の前ばかり鍛えることに。
反対にお尻の位置が高すぎると、太腿裏・お尻・腰背部の筋肉には刺激が入りますが、今度は上半身の前傾がきつくなり腰への負担が大きくなりすぎて高重量が挙げられず、デッドリフトのメリットのひとつである高重量を挙げやすい部分がなくなってしまいます。
お尻の位置の目安は「ボトムポジションで膝と肩の中間にお尻が位置する」ようにしましょう。
顎があがっている
顎をあげると腰椎が過度に伸展(腰が反っていること)してしまい、背中は丸まらないものの腰が反ることで腰への負担が増大し、反りすぎて腰を痛めるリスクがあります。
顎は上げずに自然な位置でデッドリフト中は動作するようにしましょう。
まとめ
デッドリフトは簡単なようで、じつは非常に奥が深いエクササイズ。ですが、難しいだけあって正しくできると非常に多くのメリットがある素晴らしいエクササイズでもあります。
今回の記事で参考に自分のエクササイズで、今回紹介したような間違い・エラー動作が発生していないかチェックしてトレーニング効果をより高いものにしていきましょう。

