デッドリフトはウエイトリフティング・パワーリフティング選手のような瞬間的に大きな筋力発揮が求められるアスリートから、ランナーのような持久系アスリートまであらゆる競技アスリートはもちろん、一般のボディメイクまで様々な人にとっておすすめできるエクササイズです。
スクワットやベンチプレスとならびBIG3のひとつとして称される、エクササイズの王様のような存在のエクササイズ・デッドリフト。
なんとなくBIG3といわれるくらいだからデッドリフトは効果があるんだろうと思っても、具体的にどのようなメリットがあるのかわからないという方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回の記事ではデッドリフトの具体的なメリットについて解説していきます。
デッドリフトとは?
デッドリフトはなんとなく難しいエクササイズのように思われることがありますが、なんてことはない非常にシンプルなエクササイズです。
デッドリフトとは「床に静止しているバーベルを持ち挙げる動作のこと」です。デッドリフトというと一般的にはバーベルを使用して脚を腰幅で立っておこなうコンベンショナルデッドリフトを指しますが、これ以外にもデッドリフトと名前のつくものにヘックスバー・ケトルベル・ダンベルなど別な機材を使うものや、両脚でおこなうものや片脚でおこなうものまでたくさんデッドリフトのバリエーションがあり、それぞれ微妙にトレーニング効果などの特徴が異なるため、目的やトレーニング環境に応じて種目を変えていくといいでしょう。
今回の記事では最もポピュラーなコンベンショナルデッドリフト(以下デッドリフト)について書いていきます。
デッドリフトのメリット
デッドリフトをプログラムにとりいれることで得られるメリットについて解説します。
- 筋力を高めやすい
- 全身の筋肉を鍛えられる
- 脚の筋力・パワーを高める
- 運動パフォーマンスの向上
- 握力を鍛えることができる
- デッドリフトはどこでもできる
①筋力を高めやすい
デッドリフトは数あるエクササイズのなかでも、特に高重量を扱いやすく、最大筋力を伸ばしていくのに最適なエクササイズです。現在のパワーリフティング(BIG3の合計挙上重量で競う競技)の日本記録をみても、ほとんどの階級でスクワット・ベンチプレス・デッドリフトの3種目でデッドリフトが最も高重量を挙げていることがわかります。
②全身の筋肉を鍛えられる
デッドリフトは下半身の筋肉を鍛えるエクササイズだと認識されることが多いですが、下半身だけではなく、腕や背中の筋肉など上半身にある筋肉まで多くの筋肉を鍛えることができる立派な全身運動です。
③脚の筋力・パワーを高める
デッドリフトはハムストリングス・大殿筋・大腿四頭筋に大きな負荷をかけることで下半身を強くしてくれます。この作用により、下半身(主に脚)の筋力を高め、瞬発的な動作である垂直跳びの記録を向上させることがあきらかになっています。
④運動パフォーマンスの向上
体にはポステリア・キネティックチェーン(Posterior Kinetic Chain:以下PKC)とは、身体の後面(背中、お尻、太腿裏など)にある筋肉が鎖のように連動して動く仕組みが備わっています。このPKCは荷物を持つ・物を運ぶといった日常動作や、スポーツで走る・跳ぶといったあらゆる動作に必要な仕組みです。
デッドリフトでは、このPKCに関わる筋肉を一度に鍛えることが可能。つまりデッドリフトをおこなうことで運動パフォーマンスを向上させることが可能となります。
⑤握力を鍛えることができる
デッドリフトは高重量を両手で握った状態で保持する必要があるため、デッドリフトをすることで自然と握力が強化されます。握力は日常でもつかわれますし、スポーツでも柔術・柔道・クライミングなど握力がパフォーマンスにつながることのある競技には非常に重要な種目です。
⑥デッドリフトはどこでもできる
デッドリフトはバーベルに限らず、ダンベル・ケトルベル・ヘックスバーはもちろんゴムバンドでもおこなうことができる、じつは意外にも手軽なエクササイズなのです。
厳密にいうと、使う機材などでトレーニング効果は変わりますがデッドリフトと名の付くエクササイズであれば、多くは似たようなトレーニング効果が得られるので、トレーニング環境(自宅かジムか)・トレーニングの目的などに合わせて機材やエクササイズを選定するようにしましょう。
基本的なデッドリフトのやり方
コンベンショナルデッドリフト(床から引き上げるデッドリフトのこと、以下デッドリフト)は、全身の筋肉(主に体の後面の筋肉)をデッドリフト一種目で鍛えることができる素晴らしいエクササイズ。デッドリフトには多くのバリエーションがありますが、まずは基本的な王道のデッドリフトを習得するようにしましょう。
- 足は腰幅・爪先はまっすぐ向けて立つ
- バーを土踏まずの上にくるように設置
- 肩幅でバーベルを握る
- バーが脛にあたるようにしながらお尻を落としてしゃがむ
- バーを体に密着させたまま、両脚で地面を押し立ち上がる
- 4と5を逆再生するようにバーベルを降ろしていく
- 4~6を繰り返す
デッドリフトを正しくおこなうために工夫する点

デッドリフトをおこなううえで問題となりがちな点と、改善するためのアイデアを紹介します。
- ボトムで背中が丸くなってしまう→ブロックなどを下に敷く
- 握力がもたない→握り方をオルタネイトグリップに変更、リストストラップの活用
- 腰痛が怖い→種目を思い切って変えてみる
ボトムで背中が丸くなってしまう→ブロックなどを下に敷く
柔軟性が低く、床に置いたバーベルを握ろうとすると腰が丸まってしまうという場合は、バーの下にブロックなどを接地して可動域を制限しておこなうといいでしょう。ただし、可動域を制限するということはトレーニング効果も下がってしまうということなので、一旦ブロックで可動域を制限しておこないつつもストレッチなどで柔軟性を高めて床から適切なフォームでおこなえるようにしていきましょう。
握り方をオルタネイトグリップに変更、リストストラップの活用
デッドリフトは高重量を手で支えなければいけない種目です。限界に近い重量になってくると、脚や背中が限界をむかえる前に握力が限界に達してしまう場合もあります。そういった場合の対策としては一つはオルタネイトグリップという握り方にしてみましょう。
オルタネイトグリップとは左右の手を順手と逆手で左右交互に握る方法です。バーベルを前後から握ることで握力を強力にサポートしてくれる効果が期待できます。
そのほかに握力をサポートする方法として「リストストラップ」を活用する方法があります。リストストラップは手首とバーベルにバンドを巻き付けて使用することで握力の補助をしてくれる役割を担うアイテムです。実際に使用してみるとわかりますが、かなり手にかかる負荷が減少するので楽になります。
パワーリフティングのように握力そのものが競技力のためにトレーニングしている場合はオルタネイトグリップを活用し、それ以外であくまでも純粋に背中や脚のトレーニングとしておこなう場合はリストストラップを活用するといいでしょう。
腰痛が怖い→種目を思い切って変えてみる
デッドリフトを一定期間取り組んだ経験のある方であればわかるかもしれませんが、デッドリフトはかなり腰への負担が大きい種目です。柔軟性が低く適切な姿勢が取れない場合や、これまでに腰痛の既往歴のある場合はデッドリフトで腰痛を再発・発症してしまう可能性があります。
デッドリフトは非常に効果の高いエクササイズなので、ぜひ取り組んでいただきたいですが、一旦近いトレーニング効果を得られる種目に代替するというのも選択肢のひとつ。
デッドリフトの代替種目で代表的なものではスモウデッドリフト・トラップバーデッドリフト・シングルレッグデッドリフトなどが挙げられます。まずはこういった腰への負担を軽減しつつも、デッドリフトに近い効果が得られる種目に置き換えてトレーニングする
デッドリフトのバリエーション

デッドリフトに必要な筋力や動作習得に役立つ、デッドリフトのレベル調節におすすめなデッドリフトの2つのバリエーションを紹介します。
- ラックプル
- ルーマニアンデッドリフト
ラックプル
ラックプルとはバーベルを、ラックのセーフティバーに乗せるなどして可動域を制限した状態でおこなうデッドリフト・ルーマニアンデッドリフトの1種です。柔軟性が低く、深くバーベルを降ろしていくと腰が丸まってしまうなど正しい動作ができない場合、まずはラックプルから始めてみるのも選択肢のひとつです。
ルーマニアンデッドリフト
ルーマニアンデッドリフトは太もも裏や背中を鍛えることができるエクササイズです。デッドリフトと異なり、直立の姿勢から股関節を折りたたむヒップヒンジ動作のみおこなうエクササイズなのが特徴です。
まずはこのルーマニアンデッドリフトを正しくできなければ、さらに可動域を大きくするデッドリフトに進むことはできません。一定期間、しっかりとルーマニアンデッドリフトに取り組んで、納得のいくフォームでトレーニングできるようにしてからデッドリフトへ進むようにしましょう。
まとめ
デッドリフトは時としてネット上では不要であるといわれることも少なくないエクササイズです。しかし、それでも多くのトレーニーに選ばれ続けているエクササイズであり、エビデンスもある確かなエクササイズのひとつ。楽なエクササイズではありませんが、ぜひこれまでトレーニングプログラムに入れていなかった人は一度一定期間プログラムにいれてデッドリフトに励んでみてください。

