「腕立て伏せをやっているけど胸に効いている感じがしない」
「腰が反ったり落ちたりしてしまう」
「腕立て伏せは1日何回・何セットやればいいの?」
このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
腕立て伏せは、器具を使わず自分の体重を負荷にして大胸筋を中心に上半身を鍛えられる自重トレーニングです。自宅でも外出先でも取り組める手軽さから、筋トレ初心者からアスリートまで幅広く実践されています。
一方で、認知度の高さのわりに、腰が落ちたり反ったりするなど正しいフォームでできていないケースも少なくありません。フォームが崩れると、大胸筋に効かせられないだけでなく腰を痛める原因にもなります。
この記事では、腕立て伏せの正しいフォームややり方をはじめ、鍛えられる筋肉、回数・セット数の目安、効かせるコツ、負荷を上げる方法まで詳しく解説します。
これから腕立て伏せを始める方はもちろん、現在のフォームを見直したい方も参考にしてください。
腕立て伏せとは?
腕立て伏せ(プッシュアップ)は、うつ伏せの姿勢から手と つま先で体を支え、腕の曲げ伸ばしによって上体を上下させる自重トレーニングです。
ベンチプレスのように器具を使わず、自分の体重を負荷として大胸筋・上腕三頭筋・体幹などを同時に鍛えられるのが特徴です。
体勢を支えてくれるベンチがないぶん、動作中は姿勢を自分の筋力で保持し続ける必要があり、単なる胸トレーニングにとどまらず体幹トレーニングとしての効果も得られる種目です。
そのため、腕立て伏せは「胸を鍛えたい」という方だけでなく、「競技パフォーマンスのために体をコントロールする力も養いたい」というアスリートにもおすすめの種目です。
腕立て伏せで鍛えられる筋肉一覧

- 大胸筋
- 三角筋前部
- 上腕三頭筋
- 前鋸筋
- 腹直筋
- 腸腰筋
- 大腿四頭筋
大胸筋
大胸筋は胸の大部分を覆っている大きな筋肉で、腕を前方へ押し出す動作に関わります。腕立て伏せでは、体を押し上げる際にメインで働く筋肉です。
上腕三頭筋・三角筋前部
上腕三頭筋は肘を伸ばす動作、三角筋前部は腕を前方へ押し出す動作に関わり、大胸筋とあわせて体を押し上げる際に働きます。
前鋸筋
前鋸筋は肩甲骨を安定させる働きがある筋肉です。腕立て伏せでは肩甲骨が自由に動くことが求められるため、姿勢を安定させるために重要な役割を果たします。
腹直筋・腸腰筋・大腿四頭筋
腕立て伏せの姿勢(頭から踵まで一直線の姿勢)を保持するために、腹直筋や腸腰筋、大腿四頭筋といった体幹・下半身の筋肉も動員されます。
このように、腕立て伏せは主に身体の前面につく筋肉を一気に鍛えられるエクササイズです。
自由に動けることが関係し、肩甲骨を安定させる働きがある前鋸筋や、腕立て伏せの姿勢を保持するために腹直筋や大腿四頭筋などの筋肉が鍛えられます。
腕立て伏せの正しいやり方
それでは腕立て伏せの正しいフォームについて解説していきます。
まずは動画をご覧ください↓
- 両手・つま先で体を支え、腕を伸ばした姿勢をつくる
- 頭から踵まで一直線の姿勢を保つ
- 息を吸いながら肘を曲げ、胸を床に近づける
- 息を吐きながら床を押して体を持ち上げる
1.両手・つま先で体を支え、腕を伸ばした姿勢をつくる
脚を伸ばし、両腕を伸ばして体を支えます。
このとき、両手は「肘を曲げて胸が床に近づいたときに前腕が床に対して垂直になる手幅」で、かつ「バストトップの延長線上に手がある」状態につくようにしましょう。
2.頭から踵まで一直線の姿勢を保つ
腕立て伏せでは、腰が落ちて「しゃちほこ」のような姿勢になってしまう人をよく見かけますが、腰痛の原因になるためNGです。
腰を高い位置で保ち、プランクのように頭から踵まで一直線になる姿勢を意識しましょう。
姿勢を確認しながら動作したい場合は、パートナーに背中へ棒を乗せてもらい、「後頭部・肩甲骨の間付近・腰」の3点が棒に触れているかを確認しながら行うのもおすすめです。
3.息を吸いながら肘を曲げ、胸を床に近づける
息を吸いながら肘を曲げ、胸が床につくまで下ろします。可動域をできるだけ最大限に使い切ることを意識しましょう。
4.息を吐きながら床を押して体を持ち上げる
床を両手で押し、息を吐きながら体を上げます。切り返すタイミングで腰が落ちやすいため、頭から踵まで一直線の姿勢を崩さないよう注意しましょう。
腕立て伏せは胸のトレーニングのイメージがありますが、胸だけではなく先ほど説明したように多くの筋肉を動員することができるエクササイズです。また、その姿勢を綺麗に保って動作することでただの筋トレではなく体幹トレーニングの効果も得ることができる素晴らしいエクササイズへ変化します。
正しい姿勢で挑戦できるかチェック方法
姿勢をたしかめながら腕立て伏せをしたい人は上の動画にあるように、トレーニングのパートナーやコーチなどに背中に棒を乗せてもらい「後頭部・肩甲骨の間付近・腰」の3点が背中の棒にくっついているか確認しながらおこなうと綺麗な姿勢をつくり確認しながら動くことができます。
大胸筋をメインで鍛えたい場合、手幅は「腕を折り曲げ胸が床につくときに前腕が地面に垂直になるくらいの手幅」。上腕三頭筋をメインで鍛えたい場合には「手を肩幅でつく」くらいの狭い手幅で鍛えるナロープッシュアップという種目、といったように鍛えたい部位に応じて手幅を調整してトレーニングするようにしましょう。
腕立て伏せの回数・セット数・頻度
腕立て伏せを行う際に悩みやすいのが、回数やセット数、頻度です。基本的には以下を目安にするとよいでしょう。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 回数 | 8〜15回 |
| セット数 | 3〜4セット |
| インターバル | 1〜2分程度 |
| 頻度 | 週2〜3回程度 |
初心者の場合は、まず10回程度を正しいフォームで行えることを優先しましょう。
回数を重視するあまりフォームが崩れてしまっては、大胸筋への刺激が弱まるだけでなく腰を痛める原因にもなります。
8回に満たない場合は、膝をついて行う「膝つき腕立て伏せ」から始めてフォームを身につけるのもおすすめです。
腕立て伏せVSベンチプレス

腕立て伏せと同様に大胸筋を鍛えるトレーニングで有名なのがベンチプレス。「ベンチプレスと腕立て伏せのどちらが優れているのか?」このような質問を受けることがあります。
ベンチプレスはベンチ台に仰向けになりバーベルを挙上するエクササイズで、上半身を鍛えるエクササイズの中でも特に高重量を扱える種目で上半身で押す動作に使われる筋肉を鍛えるために非常に効果的なエクササイズです。
逆に腕立て伏せはベンチプレスと違い、姿勢を支えてくれるものはなく自分の筋肉を用いて姿勢を保持し安定させつつ動作する必要があるといった違いがあります。
| 腕立て伏せ | ベンチプレス | |
|---|---|---|
| 負荷 | 自分の体重 | バーベル(高重量を扱いやすい) |
| 姿勢の安定 | 自分の筋力で保持する必要がある | ベンチが姿勢を支えてくれる |
| 主な効果 | ・押す動作で用いる筋肉の筋肥大 ・体幹の安定性向上 | ・押す動作で用いる筋肉の筋肥大や筋力向上 |
| 手軽さ | 器具不要でどこでもできる | ジムやベンチ・バーベルが必要 |
大胸筋を鍛えるといった目的で評価するならベンチプレスに軍配が挙がるといえます。一方でアスリートなどが競技パフォーマンスを高めるために身体を上手にコントロールする力も養いつつ鍛えるためであれば、腕立て伏せはベンチプレスと違ったトレーニング効果が得られるためおすすめです。
ベンチプレスと腕立て伏せ。どちらが優れているとは一概にはいえませんが、腕立て伏せにはベンチプレスにはないトレーニング効果があります。ジムで毎回ベンチプレスをしている人もたまに種目を入れ替えて、腕立て伏せを入れてみると新しく体づくりで発見があるかもしれません。
腕立て伏せの負荷を増やしたいとき

腕立て伏せは基本は自重でおこなうエクササイズであるため、ある程度経験を重ねると負荷が物足りなくなって回数を増やしていくという方法で負荷を増やしていくかと思います。
しかし、それも何回も繰り返していくとだんだんと50回できるようになり、100回できるようになり…と際限なく回数ばかりが増えていき、1回のトレーニングにかかる時間がどんどんと伸びていくことに。最初のうちは問題ないのですが、これも繰り返していくと回数をどんどん増やさなければいけなくなり肉体的苦痛より精神的な苦痛が大きくなっていくように。
では、回数ではなくもっと別な方法で負荷を上げるにはどうしたらいいか。その方法は3つ。「プッシュアップバーで可動域を広げる」ことと「重りを背中に乗せる」そして「筋肉の緊張時間を長くする」ことです。
プッシュアップバーで可動域を広げる
筋肉は可動域を広げることで仕事量が増え、同じ重量でもより大きな負荷がかかるようになります。例えばバーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスがいい例です。
バーベルベンチプレスと比べるとダンベルベンチプレスの方が挙げられる重量が下がりますが、それでもダンベルベンチプレスの方が大胸筋の伸長・収縮を感じやすく効かせやすいというのも、ダンベルの方がバーベルよりも可動域を広くできて筋肉を大きく動かせるから。
プッシュアップバーで通常よりも深く下りることができるようにして可動域を広げ、筋肉の伸長・収縮を強くすることによって大胸筋への負荷を大きくすることができます。
重りを背中に乗せる
シンプルに重りで負荷を加える方法。
背中にプレートなどを乗せることで通常の腕立て伏せよりも、大きな負荷を大胸筋はじめ筋肉に与えることが可能となります。
もし、本格的に負荷をくわえてトレーニングしたいならたいなら、バンドを背中に回して上の動画のように負荷を加えるという方法もおすすめです。
筋肉の緊張時間を伸ばす
筋肉をより長く緊張させておくことで、重りなどの負荷を加えずとも筋肉へより大きな刺激を与えることが可能となるためバンドも重りも必要ありません。
例えば押す局面と下りる局面で各3秒ずつかけてゆっくり丁寧に動作すると、同じ回数でも通常よりも強く筋肉がパンプアップするのがわかるはずです。
腕立て伏せに関するよくある質問
腕立て伏せについてよくある質問をまとめました。
- 腕立て伏せは1日何回やればいい?
-
初心者はまず8回×3セット程度を、正しいフォームで行えることを目安にしましょう。
回数をこなすことよりも、フォームを崩さずに行うことを優先してください。
- 腕立て伏せは毎日やってもいい?
-
基本的に毎日行う必要はありません。大胸筋を十分にトレーニングした後は回復する時間を確保しましょう。週2〜3回程度から始め、疲労に応じて調整するのがおすすめです。
- 腕立て伏せで胸に効かないのはなぜ?
-
胸に効かない場合は、以下を確認してみましょう。
- 手の位置がバストトップからずれている
- 腰が反ったり落ちたりしている
- 可動域が浅い
- 反動を使って動作している
特に手の位置と姿勢の崩れはよくある原因のため、まずはフォームを見直してみましょう。
まとめ
腕立て伏せは、自分の体重を負荷にして大胸筋を中心とした上半身と体幹を同時に鍛えられるトレーニングです。
正しく行うためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 手はバストトップの延長線上につく
- 頭から踵まで一直線の姿勢を保つ
- 胸が床につくまで可動域を使い切る
- 反動を使わずゆっくり動作する
- 回数は10〜15回×3〜4セットを目安にする
- 負荷を上げたいときはプッシュアップバー・重り・緊張時間の延長を活用する
腕立て伏せは「ベタな種目」と軽視されがちですが、正しいフォームで行うことで筋トレ初心者からアスリートまで幅広いレベルでうれしい効果を得られる種目です。この記事を参考に、ぜひ日々のトレーニングに取り入れてみてください。

